日本ウイルス学会・学術集会は大阪で第1回目が始まったものですが、還暦にあたる60回という節目に再び大阪で開催させていただくことになりました。大変光栄に存じますとともに、責任の重さを痛感しております。

　ウイルス学は、生命科学をリードする先端的な分野として注目されています。また、21世紀に入り、様々な新興ウイルス感染症や再興ウイルス感染症を相次いで経験し、ウイルス感染症に関する対策研究を行うことの重要性が認識されるようになっております。

　世界規模の感染症対策研究や開発途上国からの新興感染症の出現とその対策は、現状では欧米主導で進められていると言えます。わが国も2005年から文部科学省予算による「海外感染症研究拠点形成」プログラムが始まり、日本人研究者が海外に赴き、現地の研究者との連携をはかり、長期的展望にたった体制を構築する計画で広く進められております。このプログラムを通して、この研究分野に携わる若手人材を育成する仕組みもできつつあります。今後もこの流れを着実に継承し、途上国との連携による感染症研究をゆるぎないものにまで育てていく必要があります。

　本学術集会では、先端的なウイルス学分野の研究者に加え、ウイルス感染症分野の研究者が興味を持って参加できる企画を取り上げ、お互いの研究を融合できるような工夫を盛り込みたいと考えております。また、ポスターでの発表を奨励するために、優秀な発表者にはポスター賞を贈ります。諸先生方の積極的な参加をお待ちしております。

　最後になりましたが、本学術集会開催にあたり本学会理事会、運営委員長をお引き受け下さいました松浦善治大阪大学教授ならびにプログラム委員長をお引き受け下さいました塩田達雄大阪大学教授をはじめ、プログラム委員の各先生、その他ご協力いただきました多くの先生方に心よりお礼を申し上げます。